ピエールSの戯言

自分の趣味の音楽や車、考え方、そんなのを書くだけ

先延ばし問題と自制心

なぜかわからないけど、やたら耳が痛くて全く眠れなかったわ

調べてみると、アトピーって耳の中にも影響を及ぼすらしいのね。

それで無意識のうちに耳の中を掻いてしまって、傷口を作って炎症を引き起こすのだとか。

いや本当やっかいね。

 

さて、本日の7章では先延ばし問題とその自制心について書かれている。

つまり、締め切りがあるのになぜギリギリまで手を付けないのだとか、長期目標のための努力を台無しにしてしまうだとか、そんな感じのことについてである。

その解明と対策について書いてある章だ。

 

結論から言うと、人間は誘惑にすべからく弱い。それによって先延ばし問題を起こしやすくなる。それに対抗するには、初めの段階で自身に制限を設けることだ

 

自身に制限とは?

では、例のごとく本章で記されている例と共に見ていきたい。

 

 

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さて、著者は大学教授であり、大学を舞台にすると学生に課題を課す側である。

そのため多くの場面で先延ばし問題に直面する。

私は課題を先延ばしにはしたことがないが、多くの学生ではそれが当てはまるらしい。

 

新学期が始まるたびに学生らは大胆な誓いを立てるという。

読書課題を遅れずにこなし、遅れずに提出し、上位の成績を維持しようと誓う。しかしそれは誓いであり、実際の行動ではない。では、実際はどうなってしまうのか。学期が始まり、過ごすにつれ様々な誘惑が発生する。

デートに行ったり、スキーに行ったり、勉強会が雑談会になったり…。

最終的には提出は遅れ、そのたびに創造性豊かな学生は作り話を披露するという。

 

さて、この誘惑という弱点を克服するために著者は実験を行った。

実験内容はこんな感じだ。

従来通りに課題を学生たちに課す。その際に、締め切りを自身に設定させるというものだ。3回ほどの提出がある課題に対して、それぞれの締め切りを学生たちに委ねる、というものだ。提出に遅れた場合は、1日遅れる度に1%成績を下げる、という条件も付いている。

これだけでは単体での実験になってしまうので、他のグループも加え、合計3グループで行う。

第1グループは前述のグループだ。

著者に対して『わたしはXX日までにレポート1の提出をします。』という宣誓だ。これをレポート2、レポート3、つまり3回分の提出日を宣誓する。

 

第2グループは学期中には締め切りはないと伝えた。

学生は学期最後の講義までにレポートを提出すればいい、ということだ。ペナルティもない

 

第3グループはレポート3つに締め切りを指定した。

それぞれ第4週、第8週、第12週に提出するように指示した。これは命令であり、学生たちに拒否権はなかった。

 

ちなみにグループ1の学生たちは、スケジュール管理ツールを用いて学期全体に散らばるように間隔をあけてレポートの提出時期を設定した。

この段階で、学生たちが先延ばし問題を自覚していること、機会が与えられれば自制心を動かそうとすることがわかる。

 

 

では成績結果はどうだっただろうか。

学期が終わった後、ようやく三種類の締め切り条件での成績が比較できる。

では一番悪かったのはどこだろうか。大方予想できそうだが、最終締め切り以外、何も締め切りを設定していなかったグループ2だ。

続いて第1グループ、優秀成績はグループ3だった。

 

この結果から何がわかるのだろう。

第一に、学生は確かに先延ばしをする。

第二に、自由を厳しく制限することが先延ばし問題に一番効果が出る。

第三に、これが一番の発見としているが、決意表明できるようにするツールを与えるだけでいい成績をとる助けになる、ということだ。

 

この第三の発見はつまり、たいていの学生が先延ばし問題を理解していて、機会を与えればその問題に取り組む行動を起こし、それなりの成績向上が見込める。

だが、これは全員が自分の先延ばし問題の傾向を理解しているわけではなく、また仮に自覚している人でも、先延ばし問題を完全には理解しているわけではないため、グループ3より成績が下がってしまった。

 

グループ1の設定した締め切りを見てみるとそれがわかる。

クラスの大多数は、十分な間隔をあけて締め切りを配置していた。この学生らはグループ3と変わらないくらいの優秀成績だった。

しかし、一部の学生は締め切り間隔をあまり開けず、数人は全く開けていなかった。この結果、締め切り間隔をあけなかった学生がクラスの平均を下げることになった。

 

また別の発見もあった。

この結果をさらに見ると、自分の弱点を自覚し、認めている人のほうが事前の決意表明に利用できるツールを使いやすく、そうすることで自力で問題を克服できる、というものだ。

 

以上が学生に対して行った実験だ。

著者はこれは日々の生活に深い関わりがあると考えている。

誘惑と戦い、自制心を少しずつ身に着けていくことは人間の共通目標であり、それを果たせずに繰り返し挫折するのは多くの苦悩の種になっている。

ダイエットとデザートの誘惑、消費を抑えて貯蓄を増やそうとする家族など、身の回りは自制との戦いばかりだ。

しかしながら結局は同じ苦境に陥る。

決意表明をしない限り、いつまでも誘惑に引っかかってしまうのだ。

 

では、いい対策というのはないのだろうか。

先ほどの実験から導き出されるのは、”外部からの高圧的な声”だ。

外部からの命令があれば、ほとんどの人が気を付ける姿勢になる。

しかし一方で、命令の仕方でも影響を左右する問題もある。ガミガミと命令するのがふさわしくなかったり、好ましくない場合もある。

ではその妥協案がないだろうか。

これがグループ1のように、望ましい行動の道筋をあらかじめ決意表明する機会を与えることではないか、と著者は記している。

確かに強制的に指定されたグループより成績は良くないが、正しい方向に押し出す助けにはなる。

 

話を日常生活にもどそう。

では、日常生活ではどういうように対処するか。

私たちには自制に役立つようなシステムがある。

例えばダイエット。これは友人と一緒に規則正しい運動を続けるよう約束することで、1人で行うより確実性があがる。

貯金に関しても、自動積立制度を活用することで半ば強制的に制限することができる。

これらのように、少し考えてみると意外と自制心を呼び戻すツールというのはある。

これらを活用することで、先延ばし問題を解消できるのではないだろうか。

 

 

 

 

 

おわり