ピエールSの戯言

自分の趣味の音楽や車、考え方、そんなのを書くだけ

ダン・アリエリー著『予想どおりに不合理』を読んだ(三章)

花粉が酷くて、目も鼻も喉もあかん。

 

さて、第三章は”無料”についての話だった。

無料ははずがどうして、払いすぎてしまうことになるのか、というだいぶ矛盾した内容。これも深く見てみると結構楽しい。

 

これを書いているまさにこの瞬間、Twitterではあの有名なSODが”約200本のAV無料キャンペーン”なるものを開催。

タイミングがすごいし、SODの気前の良さもすごいなと思った笑

https://news.livedoor.com/article/detail/17960114/

 

 

 

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というわけで今回も復習がてら、『予想どおりに不合理』の第三章、

【ゼロコストのコスト】

-なぜ何も払わないのに払いすぎになるのか-

を見ていきたい。

 

本章でのキーワードはタイトル通り、”無料”という言葉だ。

 

ゼロコストという言葉は非常に魅力的で、いらないものでも無料と言われてしまうと貰って行ってしまうことがないだろうか。

普段はコーヒーを飲まないのに、何かのクーポンでコーヒーが無料になると飲みに行ってしまったり、なにかのおまけについてきたモノなどなど…

 

無料で手に入ると何かいい気分になる。

実は、値段ゼロは単なる価格ではないらしい。

著者曰く、ゼロは感情のリセットボタン、つまり引き金であり、不合理な興奮の源なのだそうだ。

例えば、500円のモノが200円に値下げされていても買うかもしれない程度になるがそれが、これがゼロになるとほとんどの人が飛びつく。

無料は本当に魅力的だし、なぜか幸せにさせてくれる。

しかし一方で、無料が翻って厄介になることもあると著者はいう。

というのも、今まで全く買うつもりのなかったものが、無料になった途端に異常に魅力的になるからだ。

イベントなどでもらった袋やテッシュを大量にもらったものの帰宅すると置き場がなかったりで捨ててしまったり、無料のために長時間行列にならんだことがないだろうか。

 

著者はここでとある実験を試みた。

公共の場で、チョコレートの販売を行うというものだ。

チョコレートは2種類あって、1つはリンツのチョコで1個当たり30セント、もう1つはハーシーのチョコでとても安い。

さて、テーブルの上にそれらを並べ1人1個の条件で、リンツを15セント、ハーシーを1セントに設定した。

この場合はお客は合理的な行動を起こした。すなわち、両方の値段を比較し、下げ幅が高いリンツを選択した人が73%に達した。

 

次にそれぞれ1セント値下げした。

つまりリンツが14セント、ハーシーが0セント、つまり無料。

これで結果がどう変わるのか。たった1セントで何が変わるのか。

結果、ハーシーが69%と圧勝した。

破格のリンツが破れ、73%から31%まで激減した。

 

もちろん無料のすべてが悪いわけではない。

何の犠牲もなく、無料でモノを得られるのであれば問題ない。

しかし、無料のために無料の品物とそうでないものの品物の板挟みになる時に重大な問題が生じる。

例えば、靴下を買いに行くとする。

欲しいのはかかとが二重になっていて、つま先に補強があるのもだ。

しかし、店に入ると2足組で2足目が無料の普通の靴下が目に入る。気に入ったわけでも、目的のモノではないが、無料という言葉に惑わされこちらを選んでしまった、という例だ。

チョコレートの実験ではこれを反映させた。

つまり、二者択一にし値下げを行い、一つを無料にした。

価格差は変わっていないし、そこから得られる満足度も変わっていないとなると、普通の経済学では行動に変化がでないはず。

しかし、実験の通りチョコの需要は逆転した。

 

なぜ、こんなにも無料に魅力を感じてしまうのか。

著者の考えはこうだ。

たいていの取引は良い面と悪い面の両面を持つが、何かが無料になるとその悪い面を忘れさせたり、無料そのものに感動し、提供されたものを実際よりはるかに価値のあるものだと思ってしまう。

それは、人間が失うことを本質的に恐れるからで、無料の魅力は恐怖と結びつき、無料であれば失うものがない。

一方で有料であるとまずい選択をしたかもしれないという危険性が残る。

 

というものだ。

周りを見てみると自分たちは多くの無料に囲まれている。

年会費無料、入会金無料、送料無料など。

果たして年会費無料のために高金利のクレカを選んだり、入会金無料のために周りと比べると高い月額費用のジムに入会したり、1500円以上無料配送のためにそこまで必要としていないモノを追加で購入したりしていないだろうか。

無料といってもそこには裏があり、損をすることが多く、結果的にタイトル通りに払い過ぎになることがある。

 

無料で飛びつく前に、少し計算してみるのも無駄使いの抑制につながるのではないだろうか。

 

 

終わり。